地球史年表

  1. 地球史年表

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単位百万年

地球史年表(ちきゅうしねんぴょう)では、地球歴史に関する簡潔な年表を掲げる。

  • この項目ではなるべく平易な説明にとどめ、学術的な年代区分や詳細な説明・年表は別にゆずる。
  • 地質時代の基底年代については、図表に記載されている数値は地質系統・地質年代表 (International Stratigraphic Chart) ICS2018/08に基づいているが[1]、本文の古い記述とは異なるものもあることに留意が必要である。
  • 時代区分については地質時代を参照。
  • 仮説や、議論が現在されている項目も含んでいる点に注意。

地球誕生前[編集]

太陽は、過去の超新星爆発で散らばった星間物質がふたたび集まって形成された種族Iの星である[2]と考えられ、太陽系は46億年前に形成され始めたとされる。また、太陽系にはウランといった重元素が多く存在している[3]。これらの重元素の成因としては、質量の大きな高温の星の内部での元素合成とその後に発生する超新星爆発によって作られ、宇宙空間にまき散らされた、という過程が最も可能性が高いシナリオだからである[3]。なお2014年現在では、金やウランなど原子番号40以上の元素の成因を超新星爆発に求める説は懐疑的となり、中性子星合体英語版による可能性が高くなってきている[4]

地球誕生 – 生命誕生[編集]

地質時代先カンブリア時代[* 1][* 2]
累代[* 3]基底年代
Mya[* 4]
顕生代新生代66
中生代251.902
古生代541
原生代新原生代エディアカラン635
クライオジェニアン720
トニアン1000
中原生代ステニアン1200
エクタシアン1400
カリミアン1600
古原生代スタテリアン1800
オロシリアン2050
リィアキアン2300
シデリアン2500
太古代(始生代)新太古代2800
中太古代3200
古太古代3600
原太古代4000
冥王代4600
  1. ^ 基底年代の数値では、この表と本文中の記述では、異なる出典によるため違う場合もある。
  2. ^ 基底年代の更新履歴
  3. ^ 顕生代は省略、太古代は無し
  4. ^ 百万年前

先カンブリア時代(46億 – 5億4200万年前)

  • 45億4000万年前(±5000万年) – 地球誕生。
太陽系隕石岩石の生成年代から、この頃、原始地球が形成されたと考えられている。地球の形成は太陽系の形成と進化での説明が詳しい。
アンモニアメタンなどの水素化合物が凝集し固体となるのに充分な低温となる主たる恒星からの距離を凍結線と呼び、太陽系の場合、凍結線は約2.7AUであり、小惑星帯の辺りになる。原始太陽系星雲内で凍結線よりも温度の低いところでは、降着による微惑星および惑星の生成が、これらの固体となった粒子によって起こりやすくなる。したがって凍結線は惑星の質を地球型木星型に分ける境界になる[5]。H2O(水)が昇華する温度がおよそ170Kであり、凍結線の内側ではH2O(水)は水蒸気に、外側では氷になり、そのため凍結線の内側では地球のような岩石の惑星が形成され、その外側には氷の惑星ができる[6][信頼性要検証]
また、地球の形成位置は、後に生命を育むことができる液体の水を保持することができるハビタブルゾーンに位置していた。
の形成時期も、45億5000万年前とされる。月の形成仮説の1つとして、地球に原始惑星が衝突して形成されたとするジャイアント・インパクト説がある。
地球が誕生して間もない45億4000万年前から44億4000万年前のマントルに由来する溶岩が、カナダ・バフィン島とグリーンランド西部で見つかったと、米カーネギー研究所の研究チームが2010年8月『ネイチャー』に発表した。
地球大気の歴史については、確証は得られていないが、以下のようなことが考えられている。地球が誕生した46億年前頃の原始大気は、主にヘリウム水素からなり、高温高圧だった。これは現在の太陽の大気と似た成分である。これらの軽い成分は、原始太陽の強力な太陽風によって数千万年のうちにほとんどが吹き飛ばされてしまったと考えられている。やがて、太陽風は太陽の成長とともに次第に弱くなってくる。この頃には、地表の温度が低下したことで地殻ができ、地殻上で多くの火山が盛んに噴火を繰り返していた。この噴火にともなって、二酸化炭素アンモニアが大量に放出された。水蒸気と多少の窒素も含まれていたが、酸素は存在しなかった。この原始大気は二酸化炭素が大半を占め、微量成分として一酸化炭素、窒素、水蒸気などを含む、現在の金星の大気に近いものであったと考えられている。100気圧程度と濃く、高濃度の二酸化炭素が存在した。地球が十分に冷却されていなかった時期の原始大気には大量の水蒸気が含まれていたと考えられる[7][信頼性要検証]
  • 44億年前 – 現在、知られている最古の岩石鉱物が現れる。
西オーストラリア州のジャック・ヒルズで発見されたジルコン粒子のうち最古の物(44億400万±800万年前)[8]
ジルコン粒子の中にダイヤモンドが含まれていることが、2007年に明らかになった。このジルコン粒子年代値は、30億年 – 42.5億年前である[9]
  • 41億年前 – 38億年前 後期重爆撃期には、木星型惑星の移動による重力の釣り合いの変化(太陽系の形成と進化#惑星の軌道の移動を参照)によって、多数の小天体が内部太陽系に侵入し、それ以前の元々小惑星帯にあった物質が枯渇して現在の状態になった[10]。これが引き金となって、に多くの衝突クレーターが形成され、地球水星金星火星といった岩石惑星も多くの天体衝突を受けたと考えられている。天体衝突に由来する月面の溶融岩石の大部分がこの短い期間に作られたと示されている。
  • 40億年前 – 原始海洋ができた。花崗岩(カナダ北部のアカスタ片麻岩)ができた。プレートができた[11][注釈 1]
古い変成岩に含まれる堆積岩の痕跡などから、43 – 40億年前頃に海洋が誕生したとみられる。この海洋は、原始大気に含まれていた水蒸気が、火山からの過剰な噴出と温度低下によって凝結して、雨として降り注いで形成されたものであった。初期の海洋は、原始大気に含まれていた亜硫酸塩酸を溶かしこんでいたため酸性であったが、陸地にある金属イオンが雨とともに流れ込んである程度中和されたと考えられている。ある程度中和されると二酸化炭素が溶解できるようになるため、大量の二酸化炭素を吸収していった。地球全体は還元的な雰囲気下にあり、鉄は2価鉄のイオンとして溶解していた。水蒸気が紫外線を受けて光分解することで酸素が生成されてはいたが、2価鉄が3価鉄への酸化により発生した酸素がすぐに吸収されたため、大気中にはほとんど残らなかった。
  • 40億年前(±2億年) – この頃、原始生命が誕生したと考えられている。 → 生命の起源
  • 38億年前 – 現在、知られている最古の堆積岩が現れる。
西グリーンランドのイスア地方(約38億年前)の表成岩やイサック片麻岩複合体など[8]堆積作用があったことから、この頃には海が存在していたと考えられている。
共通祖先に近い原始的な生物は好熱性を示すものが多く見られる。例えば、真正細菌の根に一番近いのは超好熱性水素細菌である。古細菌でも根に近いものは好熱性のものに占められている。最も早い推計では、タンパク質アミノ酸配列の置換速度から、共通祖先は42億年前にいたとする研究がある[12]
  • 35億年前 – 生物活動の化石証拠
地球上での最古の化石(西オーストラリア・ピルパラ地域からのバクテリアの化石)[13]メタン生成の痕跡(西オーストラリア・ピルパラ地域から、同位体比率異常のメタン)[14]
  • 32億年前 – 光合成をする生物が現れる。藍藻(シアノバクテリア)。
ストロマトライトとして痕跡を残した。ストロマトライトは藍藻(シアノバクテリア)の活動で形成された岩石。また、これよりも古い時代とする説もある。遅くとも32億年前までには光合成をする生物が現れ、海中に酸素を供給しはじめた。
二酸化炭素光合成を行う生物が誕生すると、それらは二酸化炭素を酸素に変換するようになる。さらに、二酸化炭素が生物の体内に有機物として蓄積されるようになり(炭素固定)、長い時間をかけて過剰な炭素化石燃料、生物のからできる石灰岩などの堆積岩といった形で固定される。
  • 27億年前 – シアノバクテリアが大量発生。
この頃のシアノバクテリアの化石が大量に見つかっている。酸素の供給量が増加。
シアノバクテリアの活動で海中の酸素量が増加し、海中の2価の鉄イオンが3価鉄に酸化して沈殿したため形成される。縞状鉄鉱層の形成がおよそ19億年前まで続き、これ以後は形成されなくなる。
  • 24億 – 22億年前 – 現在分かっている最古の氷期。→ ヒューロニアン氷期
  • 22億2000年前 – マクガニン氷河時代、全球凍結[15]
  • 20数億年前? – 大気中の酸素の増加。酸素は初期の生物の大量絶滅と酸素を効果的に利用した生物のさらなる進化を導いた。
海中の鉄イオン濃度が低下し、海中の鉄イオンが酸化し尽くされると縞状鉄鉱層の形成も停止し、余剰となった海中の酸素が大気中にも多く供給されるようになった。
大気中の酸素は紫外線と反応しオゾンをつくった。酸素濃度が低かったころは地表にまで及んでいたオゾン層は、濃度の上昇とともに高度が高くなり現在と同じ成層圏まで移動した。これにより地表に到達するDNAを破壊する有害な紫外線が減少し、生物が陸上にあがる環境が整えられた。
大陸移動説によれば、大陸は数億年程度の周期で離散集合を繰り返していると考えられ、この頃、ヌーナ大陸と名づけられた超大陸が出現したと考えられている。
  • 約20億 – 10億年前 – 酸素濃度が現代の1/100以上のレベルとなり大きくは増加しなかった[15]
  • 約10億 – 7億年前 – ロディニア大陸誕生
  • 10億 – 6億年前 – この頃、多細胞生物が出現したと考えられている。多細胞生物は原口 (生物学)の獲得により強力な捕食能を有するに至った。
  • 8億5000万年前頃 – この頃の1年は約435日。
ストロマトライトからの計測結果による。
→ ジャイアント・インパクト説
  • 8億 – 6億年前 – 大規模な氷河時代であったとされる。
  • 7億年前 – スターチアン氷河時代、全球凍結[15]
  • 6億5000万年前 – マリノアン氷河時代、全球凍結[15]
全球凍結(スノーボールアース)仮説。
スノーボールアースの地理的な隔離の間、どのように捕食するか、どのように捕食から逃れるかの観点から多細胞生物は多様性を形成し、これがエディアカラ生物群バージェス動物群のような多様性を形成し、スノーボールアース終結からカンブリア爆発まで、少なくとも3200万年も経過していることから、その間、全地球的な捕食と被捕食の生存競争が存在したと考えられる。
大型の軟体性の生物群であるエディアカラ生物群は、地球全体が氷に覆われていた時期(スノーボールアース)の直後に出現し、その大部分がカンブリア紀の始まる前に絶滅した。バージェス動物群に見られるアノマロカリスオパビニアなどの大型捕食動物の出現とともに、カンブリア爆発の際には堅い外骨格をまとった動物が多く見られるようになった。エディアカラ生物群は、新たに出現した捕食動物に食い尽くされて絶滅したとも言われている[16][信頼性要検証]