3960億年に一度の惑星直列は事実ではない
本ドキュメントでは、2025年1月25日に起こるとされる「3960億年に一度の惑星直列」についての誤解を解説します。SNSで広まったこの話題は、実際には惑星の配置や観測の仕方に関する誤解から生じたものであり、実際には特別な現象ではないことを説明します。
「惑星パレード」とは
「
wakuseiレード」とは、夜空に複数の惑星が見える状態を指すアマチュア天文家が使う一般用語です。しかし、肉眼では見えない天王星や海王星を含めて語られることが多く、誤解を招くことがあります。今年の初めに「惑星パレード」が注目されている理由は、日没後の空で木星が明るく輝き、金星と火星も最も明るい時期を迎えているからです。土星や水星も観測可能で、これにより一晩に4つか5つの惑星を肉眼で見るチャンスが増えています。
惑星は「直列」しているわけではない
太陽系の惑星は常に決まった配置で並んでいるわけではありません。太陽の周りを惑星が飛び交っているのではなく、太陽系は平べったい形状をしており、惑星はほぼ円軌道を描いて太陽を周回しています。各惑星の軌道は少しずつ離れており、太陽から遠ざかるほど周回距離が長くなります。この構造が、夜空で惑星が一列に並んで見える現象を引き起こします。
惑星の通り道は、太陽が昼間に空を移動する経路(黄道)とほぼ重なるため、見つけやすいです。黄道の英語名「ecliptic」は、月が空を移動する経路(白道)が黄道とほぼ同じで、時折黄道を横切るときに太陽を隠す「食(eclipse)」が起こることに由来しています。
夜空に見える惑星の数は、惑星が太陽周回軌道上のどこに位置しているか、具体的には地球との位置関係によって変わります。内惑星である水星と金星は、太陽に近い軌道を回っているため、昼間は太陽と一緒に上空に存在しますが、太陽がまぶしすぎて姿を見ることができません。一方、太陽から遠い軌道を周回する惑星は、夜空に見えやすくなります。
まとめ
2025年1月25日に起こるとされる「3960億年に一度の惑星直列」は、実際には特別な現象ではなく、惑星の配置や観測の仕方に関する誤解から生じたものです。惑星の観測は、天文学的な観点から見ても特に珍しい現象ではなく、今後も多くの機会があることを理解しておくことが重要です。