ブラックホールが自転?国立天文台などのチームが証拠確認…20年超の観測データから

ブラックホールが自転?国立天文台などのチームが証拠確認…20年超の観測データから

 国立天文台などの国際チームは、ブラックホールから噴き出すガス「ジェット」がコマの首振り運動のように回転しているのを観測したと発表した。ブラックホールが自転していることを示す重要な証拠だという。成果が28日、科学誌ネイチャーに掲載される。

自転する巨大ブラックホールの周りで揺れ動くジェット(上下の白線)と円盤状のガスのイメージ(Cui et al. (2023), Intouchable Lab@Openverse, Zhejiang Lab)
自転する巨大ブラックホールの周りで揺れ動くジェット(上下の白線)と円盤状のガスのイメージ(Cui et al. (2023), Intouchable Lab@Openverse, Zhejiang Lab)

 チームは、地球から約5500万光年離れた銀河「M87」の中心部にある巨大ブラックホールについて、同天文台水沢VLBI観測所や韓国、中国などの電波望遠鏡による過去20年超分の観測データを分析した。

 ジェットを捉えた計170枚分の画像を分析したところ、約11年間の周期でジェットの方向が揺れていた。スーパーコンピューターで計算したところ、ブラックホールが自転すると、周囲にある円盤状のガスも影響し、ジェットが首振り運動することが分かったという。

巨大ブラックホールから噴出するジェットの向き(上図の白矢印)が周期的に変化している(Cui et al. (2023))
巨大ブラックホールから噴出するジェットの向き(上図の白矢印)が周期的に変化している(Cui et al. (2023))

 M87の巨大ブラックホールは2019年、国立天文台も加わる国際チームが直接撮影に成功した。同観測所の秦和弘助教は「自転を確認することは2019年以来の宿題だった。他のブラックホールでもジェットが首振り運動している可能性がある」と語る。

 八戸工業高等専門学校の中村雅徳教授(理論天体物理学)の話「ブラックホールの科学的理解を深める成果だ。異なる波長帯で観測を続けることで更なる成果が期待される」

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